子どもたちの″居場所″は「世界一不親切な塾」!?【福山市立大学生による紹介レポート②】

2023年11月22日 掲載
登録団体紹介

福山市立大学都市経営学部では「都市社会実践演習」という授業(担当:宮前良平)でまちづくりサポートセンターに登録している団体に取材に行ってきました。今回は学生からの報告第2弾です。

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私たちは福山市立大学都市経営学部の3年生です。授業の一環で、学習支援ヴァパウス(以下、ヴァパウスと書きます)の代表である木村さんにヒアリングを行いました。

活動の概要

ヴァパウスは福山市で子どもたちの居場所づくりを目的とし、学習支援や食事提供を行っている団体です。母子家庭や兄弟が多い、不登校、ヤングケアラーといった理由から家に居場所がない子どもたちをサポートしています。昼の部は学校に行きづらいと感じる不登校の子たちの居場所となっており、夜の部はひとりで晩御飯を食べている子や、自分の家に居場所がない、なんとなく居づらい子たちの拠り所、居場所となっています。

ヴァパウスは子どもの主体性に重きを置き、運営者の大人が少ない分、子ども同士で協力して成長していくことを大切にしています。そして、運営側は子どもたちが困ったときに手を差し伸べる役割を担っています。そうして主体性を育んでいった生徒の一人から、「ここって世界一不親切な塾ですね」と言われたと、木村さんは笑顔で話してくれました。

地域とのつながり

地域の行事にヴァパウスに通う子どもたちと参加し活動を知ってもらったり、SNSで発信したりすることで地域の方々とのつながりを広げています。例えば、パン作りを趣味にするおばあちゃんが行事をきっかけに活動を応援してくれるようになり、パンを持ってきてくださるようです。

コロナ禍での活動

コロナ禍では活動を一時休止することもありましたが、夜の部に参加する子どもたちからは再開してほしいとの声が多く、時間を短縮して(教室)を開放し、食事提供についても持ち帰って家で食べてもらうなどして対応していました。また、コロナ禍によって学校での授業がリモートに置き換わった結果、これまで不登校気味だった生徒たちが学校に目を向けるようになり、他の生徒と変わらずに登校するようになっていきました。そのため、ヴァパウスという場所があることが、学校に行けるようになってきた生徒にとって逆効果になってしまうと考え、コロナが落ち着いてからも、昼の部は再開しませんでした。これは、ヴァパウスではなく、学校のほうに集中してほしいという、木村さんの願いからでした。

課題と今後の展望

福山では行き場のない10代が夜間に安心できる居場所がないとおっしゃっていました。現在、昼間は行政が子育て支援を行い、夕方はヴァパウスなどの民間団体が子どもの支援を行っている形ですが、行政や民間だけでは限界があります。そのため今後は大阪府の富田林市にあるトピックという施設のように夜間にも居場所として利用できるコミュニティ施設を若い人が作っていき、居場所の選択肢を増やすことが必要だと語ってくれました。

ヒアリングを終えて

ヴァパウスさんはあたたかくて落ち着く居場所でした。自分たちが知らないところで様々な問題を抱え苦しんでいる子どもたちの存在に気づき、地域を巻き込んで活動していることを知り、私たちが子どものときにこのような場所があったら良かったと思いました。

木村さんのお話を聞き、問題を抱える子どもたちにとって何をしてあげられるのか、何が必要なのかを考える良い機会になりました。

福山市 まちづくりサポートセンター

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